よくあるご質問㊵「管理監督者」なら残業規制の対象外?介護事業所で注意したい管理監督者性の判断
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介護事業所では、人員不足を背景に、管理職が現場業務を兼務するケースが少なくありません。特に、「副支店長などの管理職である一方、送迎や介護業務にも従事している」という状況は、多くの事業所で見受けられます。このような場合、「管理監督者だから36協定の時間外労働規制は関係ない」と考えてしまうと、大きなリスクにつながる可能性があります。
今回は、労働基準監督署がどのような視点で管理監督者性を判断するのかについて解説します。
管理監督者とは?
労働基準法第41条では、「管理監督者」は労働時間・休憩・休日に関する規定の適用除外とされています。しかし、「役職名が管理職だから管理監督者」というわけではありません。
労働基準監督署は、実態を重視して判断します。一般的には、次の4つの要件を総合的に見て管理監督者性を判断しています。
① 部門全体を統括する立場であること
一定の組織を統括し、経営者に近い立場で業務を行っていることが求められます。
② 労務管理上の裁量権があること
部下の人事評価や勤務管理、採用・配置などについて一定の決定権限を持っていることが必要です。
③ 管理職として十分な待遇があること
役職手当などにより、時間外手当が支給されないことを補うだけの待遇が確保されていることが求められます。
④ 出退勤時間を自ら決定できること
勤務時間について会社から拘束されず、自らの裁量で勤務できることが重要な要件となります。
介護事業所で問題となりやすいポイント
介護業界では、人員不足により管理職が現場業務を兼務することがあります。例えば、
・朝夕の送迎業務に入る
・介護職員として利用者対応を行う
・人員配置基準(シフト)に組み込まれている
・処遇改善手当を受給している
といったケースです。
このような場合、最も問題となるのが「出退勤時間を自ら決定できるか」という点です。
送迎時間やシフト勤務に従う必要がある場合は、実質的に勤務時間が会社によって決められていると判断される可能性があります。
また、人員配置基準に算入される管理者は、事業所運営上「その時間に勤務すること」が求められるため、自由な勤務とは言い難いケースが少なくありません。
労基署から管理監督者性を否定されるリスク
このような勤務実態であるにもかかわらず、「管理監督者」として時間外労働の管理を行っていない場合、労働基準監督署の定期調査等で管理監督者性を否定される可能性があります。
その結果、
時間外労働時間が36協定の上限を超えている
割増賃金の未払いが発生している
などの指摘を受けるリスクがあります。
特に、長時間労働が続いているケースでは、実態確認が行われる可能性も高くなります。
「役職名」ではなく「実態」で判断される
管理監督者性は、「副支店長」「施設長」「管理者」といった肩書きだけで判断されるものではありません。実際の勤務実態や権限、勤務時間の自由度などを総合的に判断されます。そのため、現場業務への従事割合が高く、シフト勤務が中心となっている管理職については、一度管理監督者性を見直すことをおすすめします。
まとめ
介護事業所では、管理職が現場業務を兼務することは珍しくありません。
しかし、シフト勤務や送迎業務などにより勤務時間が拘束されている場合には、管理監督者として認められない可能性があります。
労働基準監督署は役職名ではなく「実態」を重視します。
管理監督者として運用している従業員については、権限や待遇だけでなく、勤務実態についても定期的に確認し、必要に応じて運用を見直すことが、企業の労務リスクを防ぐために重要です。
