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よくあるご質問㊲ 業務上事故の免責金を従業員に負担させることは可能か

よくあるご質問㊲ 業務上事故の免責金を従業員に負担させることは可能か

  • お知らせ

業務中の交通事故や物損事故が発生した際、
「免責金を会社だけが負担すべきなのか」
「従業員にも一部負担させることは可能なのか」
といったご相談を受けることは少なくありません。
運送業だけでなく、介護・看護分野でも、日常的に運転業務が発生する事業所では、重要な論点となります。本記事では、免責金等を従業員に一部負担させることの法的可否と、実務上の留意点について解説します。

① 雇用契約書への追記は有効か?

次のような文言を雇用契約書に追加することは、法的にも、抑止力の観点からも有効と考えられます。

 ”「業務上の事故に関して、故意または重大な過失がある場合には、免責金等の一部を負担する」”

実務上、雇用契約書に明記しなくても、故意または重大な過失がある場合に限って一部負担を求めること自体は、法的に否定されていません。
しかし、あらかじめ契約書に明示し、従業員に説明しておくことで、事故防止への意識向上、トラブル発生時の説明のしやすさ、会社側の対応の正当性の確保、といった点で実務上のメリットは大きいといえます。

② 一部負担額はどこまで認められるのか?

<合理的範囲内での一部負担>
従業員に負担させる場合でも、合理的な範囲内であることが前提となります。
過去の裁判例を踏まえると、免責金等のおおむね4分の1程度が妥当と判断される可能性が高いと考えられます。
また、上限額を定めてもよいのか?という疑問が浮かびますが、「上限1万円まで」など、具体的な金額を定めることは労働基準法第16条(賠償予定の禁止)に抵触する可能性があります。
そのため、

・具体的な金額
・明確な上限額

を文言として記載することは避け、あくまで「一部を負担する可能性がある」という表現に留めるべきと考えます。

③ 就業規則との関係は?

就業規則については、一般的に次のような規定があれば、特段の問題はありません。

(損害賠償)
従業員及び従業員であった者が、故意又は過失によって会社に損害を与えたときは、
損害の全部又は一部の賠償を求めることがある。
ただし、損害賠償を行ったことによって懲戒を免れることはできない。

④ 他社ではどのように運用されているのか

運送会社に限らず、デイサービス、訪問介護、訪問看護など、運転業務が日常的に発生する事業所では、免責金等の一部を従業員(ドライバー)に負担させているケースも実際に存在します。
多くの場合、「制度化」しているというよりも、就業規則の規定、故意または重大な過失がある場合に限定といった、法律に則った個別対応として運用されています。

⑤ 最後に:必ず理解しておくべきリスク

従業員に負担を求める場合、以下の点は十分に理解しておく必要があります。

・故意または重大な過失がある場合に限定されること
・従業員が退職する可能性があること
・労務トラブルに発展するリスクがあること

法的に可能であっても、運用を誤れば大きなトラブルに繋がる分野です。

まとめ

免責金等の一部を従業員に負担させることは、一定の条件を満たせば法的に可能ですが、

・文言の書き方
・就業規則との整合性
・従業員への説明

が極めて重要となります。
形式的な規定だけでなく、「なぜその対応が必要なのか」を丁寧に説明する姿勢が、結果として事故防止とトラブル回避につながります。

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伊藤 陽介

『介護業界に専門特化した社労士事務所
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