(業界ニュース)育休給付延長目的で「落選狙い」の保育所申請が横行 厚労省が審査厳格化へ
- BBコラム
雇用保険の育児休業給付延長を目的とし、入園倍率の高い保育所にのみ入所希望を出し、意図的に「落選」しようとする申請が相次いでいるとして、厚生労働省は育休給付延長申請の審査を厳格化する検討を進めるという。
現行制度では育休は原則1歳までで、それ以降2歳までの延長は例外的な位置づけであり、延長の際には保育所入所落選の際に自治体が発行するいわゆる「不承諾通知書」が必要となっている。
政府内では延長審査厳格化の具体案として、「不承諾通知書」とは別に延長が必要な理由(入園申請の詳細や復職の意思確認等)を申請者に申告させ、ハローワークが審査した上で延長を認めるという手続きを設けることが検討されている。
ハローワーク側で育休給付の支給が適切かどうかを判断しやすくする狙いがある。
年明けから本格的な議論を始め、実効性のある制度作りを目指す。
本来育児休業給付金は、労働者が育児のために休業する間の収入保障であり、復職をしたいが保育受け入れ先が無いためにやむを得ず延長せざるを得ない労働者のための延長制度である。
保育所落選狙いの入所申し込みにより、本当に復職および入所を希望している人が落選してしまうという矛盾は解消すべきである。
一方で、保育所落選狙いの入所申し込みが増加している背景には、多くの労働者が1歳までの育休では不十分であると感じ、不承諾通知書がなければ延長ができないという現行制度に疑問を持ちつつも、制度に則って保育所申請せざるを得ないという現状もあるのではないだろうか。
労働者のニーズを汲み取り、制度として健全に機能するような改革が望まれる。