今さら聞けない労務の豆知識⑧ 従業員の「安全配慮義務と健康管理」は事業主の責任です!
- BBコラム
事業主は労働者に関する安全配慮義務を求められています。「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を加工しつつ労働することができるよう、必要な配慮するものとする。(労働契約法第5条)職場環境の整備や健康管理への配慮などは、事業主の労働者に対する義務となっています。
健康診断の義務
労働安全衛生法では、66条で使用者に対し健康診断を受けさせる旨を定めています。健康診断は、一般健康診断と特殊健康診断の2つに分かれています。通常の会社であれば年1回以上、法定の健康診断項目に従った健康診断を受けさせることが義務付けられています。
健康診断で異常があった場合
健康診断の結果、異常の所見がある場合には、健康診断の結果が提出されてから、3ヶ月以内に医師の意見を聞くことを求められています。また2次健康診断の対象になる従業員には、2次健康診断を受けるよう勧奨することが求められています。健康へ影響のある所見のまま、何も動かず働かせるのは好ましくないとされています。
労働環境改善への配慮
健康診断の結果、医師の意見を求めた後、現在の職務に耐えられないと判断される場合には、配置転換や労働時間の変更等の処置を行うことが求められています。病気を理由に解雇等は認められません。働き続ける環境を整えていくことが事業主には求められます。
ストレスチェック
2015年12月より、ストレスチェックが50名以上の会社には義務付けられています。根拠法は労働安全衛生法になりますが、検査結果の取り扱い等が変わります。詳しくはまた別の機会に解説します。
ポイント
健康診断を受けさせていない会社がベンチャー企業には多く見られます。
健康診断を受けさせないまま、病気に気づかず過重労働で従業員が倒れた場合、場合によっては労働災害認定となってしまうことも容易に想像されます。従業員は貴重な戦力です。社員の健康状態は必要に応じて正確に把握し、安全配慮義務を果たしていくことが経営者の責任と言えるでしょう。