今さら聞けない労務の豆知識⑤ 社会保険へ加入する意味とは?
- BBコラム
社会保険には、健康保険と厚生年金があります。
こちらも雇用保険と同様で法人であれば加入が義務となっています。
こちらは労働保険ほどうるさくないのが実情ですが、それぞれの仕組みについて簡単にご説明差し上げたいと思います。
まずは、厚生年金です。
厚生年金
日本は昭和61年より、20歳以上の日本国民には基本的に年金の加入義務付けられました。厚生年金には基礎年金と呼ばれる国民年金に相当する部分が含まれており、サラリーマンであれば妻の分の年金も含めて厚生年金で基礎年金をカバーしています。厚生年金に加入すれば受給時には基礎年金部分にプラスして、厚生年金が支給されますから、厚生年金に加入すると年金受給額は国民年金単体加入より多くなる仕組みとなっています。
それでは次です。
健康保険
日本は国民皆保険制度をとっています。会社に勤めている人が加入するのが健康保険法により健康保険制度となります。個人が加入する国民健康保険との違いは、労働者が病気や怪我で休業する際に収入の66%ほどを生活保障してくれます。傷病給付金の制度があることです。この制度は、労働保険同様に、労働者を保護する制度の1つです。
健康保険の い・ろ・は
・社会保険は、すべての会社が加入します。(強制加入)
・健康保険制度には休業時の傷病給付金の制度があり、病気休職中も労働者の生活を支えてくれます。(その間は会社からは無給でも大丈夫です!)
・法人で社会保険に加入していないと、助成金の制度やハローワークの求人を受け付けてくれません。(労働保険も同様です!)
労働時間の管理
経営者はすべての労働者の時間を管理する必要があります。労働時間の管理には、主に以下の目的があります。
・給与支払いの根拠(当たり前)
・労働者の健康管理(意外とおろそか)
基本給与や時間外給与(残業代支払い)の根拠として、労働時間を管理する事は当たり前ですが、健康管理のためにも時間の管理が必要になります。労働時間は、以下の基準にもなっています。
法定労働時間と割増賃金の基準
法定労働時間1日8時間、週40時間、これを超えると割増賃金が発生します。割増率は25%、深夜(通常午後10時から朝5時)はさらに25%、法定休日(週に1日確保)は35%。つまり、休日に深夜残業させると60 %増になるケースもあります。
業務災害発生の基準(心疾患・脳疾患の発生評価基準)
加重勤務による業務災害の基準として、以下の基準が存在します。
①発症前1ヵ月間ないし6カ月間にわたって、1ヵ月あたり概ね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、概ね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること。
②発症前1ヵ月間には概ね100時間または発症前にカ月間ないし6カ月間にわたって、1ヵ月あたり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。
※その他過去1ヵ月で160時間・ 3週間で120時間の超過勤務の場合の評価ポイントも公表されています。(精神疾患もほぼ同じ基準で評価されています)
・管理職でも深夜残業代はつけないといけないので、労働時間の管理は必要です。
・超過勤務が6ヶ月で毎月80時間を超えた場合の脳疾患心疾患は労働災害の危険性は高くなります。これは管理職も同じです。
※労働災害が認められて、労働者が死亡した場合には、損害賠償が会社に請求されます。これは労災保険ではカバーされません!(数千万円に及ぶケースもあります!)
社会保険について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
もっと詳しくお知りになりたい方は、当法人へお気軽にご相談ください!