今さら聞けない労務の豆知識④ 分かるようで分かりにくい労働保険へ加入する意味とは?
- BBコラム
なんとなく聞いたことはあるけど、イマイチ良く分からない労働保険。
労働保険には、労働者災害保険(俗称:労災保険)と雇用保険があります。
まずは、労災保険のご説明です。
1人でも労働者を使用する会社では、労災保険の加入が義務付けられています。例外はありません、必ずです。
労災保険というと、現場での労災(労働災害)を保障するイメージが強いため、工場や建設現場を思い浮かべると思いますが、労災保険のカバーする範囲には、実は「通勤災害」も含まれるため、実はすべての業種(会社)で労働保険が役に立つ可能性があります。また、過重労働や職場のストレスから起こる、心臓疾患や脳疾患や精神疾患も労働災害に認定されることがあるため、どのような会社でも労働災害は起こる可能性があると言えるでしょう。このような事態に対応するためすべての会社で労働保険に加入する必要があります。
仮に、労災保険に未加入で、従業員が労働災害に遭った場合、会社は最悪その治療費や遺族補償を全額負担しなければならない可能性もあります。
労災保険の い・ろ・は
・保険料は通常のホワイトカラー会社で労務費の0.3%から0.35%です。
・経営者も、特別加入という制度で労災保険に加入することができます。
・労災保険はケガや病気の治療代のみでなく、休業時の生活保障や死亡した場合の遺族の生活などもカバーします。
・労災保険料は、全額事業主負担となります。
もう一つの労働保険は雇用保険です。
雇用保険とは
いわゆる失業保険のことで、労働者が職を失った際にその生活を保障することを主な目的とした保険です。
適用業種
雇用保険は労災保険と違い、労働保険法で適用事業が定められています。
(雇用保険法5条)
除外する事業として、下記の条件を全て満たす場合が定められています。
・農林水産業(船員が雇用される事業除く)であること
・個人経営であること
・常時5人未満の労働者を使用すること
※5人の算定に当たっては、雇用保険法の適用受けていない労働者も含めて計算する。ただし、法の適用を受けない労働者のみを使用する場合は、適用事業として取り扱う必要はない。
常時とは、年間を通して5人以上であることを言う。したがって、繁忙期は5人以上であっても閑散期に5人未満となることが通例であれば、強制適用ではなく暫定任意適用事業となる。同一事業主が適用事業の部門と暫定任意適用事業の部門を行なっている場合、それぞれの部門が独立した事業と認められるのであれば、適用事業の部門のみが適用事業となる。
法人であれば強制的に適用なので、このコラムを読んでいる皆様の会社は基本的に適用と言って良いでしょう。
雇用保険の い・ろ・は
・雇用保険は基本的には取締役以上は加入することができません。ですので、もちろん経営者は加入できないと言うことになります。また、29年1月より年齢の制限が無くなりました。
・雇用保険料は会社(事業主)と労働者で負担することになっていますが、負担の割合は通常のホワイトカラーの業種で労務費の0.9%(家会社負担分が0.6%)となっています。
繰り返しになりますが、雇用保険は会社であれば全て加入です。つまり、強制加入です。個人事業主でも、常時5人以上雇用している場合には、加入しないといけない場合がありますので、ご注意ください。意外に忘れます。
また、雇用保険には失業保険の機能だけでなく、職業訓練給付等教育に関する給付もあり、能力開発のための機能も果たしています。助成金の申請にあたっても、雇用保険の加入が前提となります。
労働保険について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか??
労災・雇用保険加入は事業主として労働者を守る最低の義務です。必ず加入をしましょう。悪質な場合は、事業主にペナルティーが課せられる可能性があります。
ご不安な方は、当法人へお気軽にご相談ください!