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今さら聞けない労務の豆知識③ 会社の憲法である 就業規則 に記載すべき基本的な内容

今さら聞けない労務の豆知識③ 会社の憲法である 就業規則 に記載すべき基本的な内容

  • BBコラム

就業規則は、会社の憲法であることは前回ご説明しました。

では、就業規則には、どのような内容を記載すべきなのでしょうか?

なんとなく分かっているようで、実は詳しく知らないことだと思いますので、今回はこの辺りのご説明をしたいと思います。

(あくまで、就業規則の基本的な記載事項です。昨今の法令を踏まえた、会社を守ってくれる就業規則にするような踏み込んだ情報ではなく、最低限の記載事項です。この内容すら記載していないようであれば、すぐに見直しを検討した方が良いでしょう。)

まずは、就業規則を作成する前提のお話です。

労働者のいる事業所に関しては就業規則の作成が業務とされています。そして、10名以上の労働者がいる事業所では、管轄監督署への届け出が義務となっています。
ちょっとドキッとした方もいらっしゃると思います。届け出が必要にもかかわらず、まだしていない方は届け出をするようにして下さい。作成していない会社は、この機会にしっかりと作りましょう。

さて、肝心の記載内容ですが、

就業規則に記載すべき事項には、絶対的記載事項相対的記載事項の2種類あります。

法律はなんで小難しい言葉を使いたがるのでしょうか 笑
私の方から簡単に解説しますと、

I.絶対的記載事項

何が何でも必ず記載しなければならない項目です。ですので、“絶対的”な“記載事項”と呼んでいます。
これは、とても分かりやすいですよね。

では次です。

II.相対的記載事項

会社がその項目について定めがある場合には、就業規則に必ず書いておかなければならない項目のことです。

少し解説しますと、要するに、その項目に関するルールがあるのであれば、就業規則にちゃんと書いて、労働者へお知らせしなきゃいけませんよ!ということです。

書かなくても良いことと勘違いをしてしまう方も多いのですが、ルールがある場合には必ず書いておかないと、ルールが無効(最低基準である労働基準法の定めに則る)となってしまいますので、ご注意ください。

では、具体的に Ⅰ II を見ていきましょう。

I 絶対的記載事項
① 始業・終業の時刻
② 休憩時間
③ 休日
④ 休暇(年次有給休暇、育児休暇など)
⑤ 交替勤務について
⑥ 賃金の決定方法、計算方法
⑦ 賃金の支払方法
⑧ 賃金の締切日と支払時期
⑨ 昇給について
⑩ 退職、解雇、定年の事由及び手続き

比較的分かりやすい項目が多いと思います。

パッと見分かりにくい⑤について補足すると、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項の事です。主に、製造業やサービス業などのシフト制の勤務体系がコレに該当します。

⑩についても補足すると、60歳で定年退職になります等定年退職に関する事項や定年退職以外の退職に関する事項を定めます。突然退職されると業務の運営や引き継ぎに支障が出る企業がほとんどです。そこで自己都合退職は少なくとも何日前に申し出れば良いかを規定します。また、解雇事由についても記載します。ご存知の通り、解雇については非常にトラブルが多いため、正確な記載が必要です。

これらは、何が何でも記載しないといけない事項でしたので、必ず記載してください。
御社の就業規則についても、しっかりと記載していますでしょうか?

それでは次です。

II 相対的記載事項
① 退職金が支払われる従業員の範囲
② 退職金の決定方法、計算方法
③ 退職金の支払方法
④ 退職金の支払時期
⑤ 賞与について
⑥ 最低賃金額について
⑦ 臨時に支払われる賃金について
⑧ 労働者の負担となる食費、作業用品等について
⑨ 安全・衛生について
⑩ 職業訓練に関する事項
⑪ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑫ 表彰及び制裁の種類、程度に関する事項
⑬ その他労働者の全てに適用される事項

前半部分は、退職金に関することがほとんどです。意味はご理解しやすい内容かと思います。

分かりにくい内容で、重要度が高いだろうものを補足すると、

⑥は、法定の最低賃金を減額する認可を得ており、適用する場合には、就業規則で記載しておく必要があります。あくまで、認可が必要ですので、この点はご注意ください。

⑦は、臨時的、突発的事由に基づいて支払われるもの、および結婚手当等支給条件はあらかじめ確定しているが支給事由の発生が不確定であり、かつ、非常にまれに発生するものを言います。

⑫は、労働者の表彰・懲戒等について記載。不良社員への懲戒は、ここで規定しなければなりません。考えられる会社にとって不利益なことを列挙し、それぞれについて、罰の重さを規定しておきます。
なるべく噛み砕いてご説明差し上げたつもりでしたが、如何でしたでしょうか?
中盤でもお伝えした通り、今回ご説明差し上げたやり内容が少なくとも網羅していないようであれば、今回は就業規則の見直しの良い機会になると思います。

また、冒頭に申し上げた通りで、今回は就業規則の基本的な記載事項です。昨今の法令を踏まえた、会社を守ってくれる就業規則にするような踏み込んだ情報ではないことは、ご承知おきください。

当法人では、最近顕著になってきている労働者の権利を保護していく情勢を踏まえ、会社を守ってくれる就業規則を強く推奨しています。

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伊藤 陽介

『介護業界に専門特化した社労士事務所
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